小野小町と深草少将の悲恋「百夜通い伝説」意味とあらすじ伝承パターンまとめ

◆社会

今回は、小野小町にまつわる様々な伝説(百夜通い伝説・草子洗小町伝説・雨乞小町伝説・通小町伝説・清水小町伝説・関寺小町伝説・鸚鵡小町伝説・卒都婆小町伝説)のうち、最も基本形として有名な深草少将との悲恋である百夜通伝説についてあらすじと伝承パターンについて調べていきたいと思います。

◆小野小町にまつわる伝説がすごかった!深草少将との悲恋の伝承「百夜通い伝説」とは?美女の知られざる顔

小野小町には現在まで数々の伝説や伝承が残っています、有名なものを少し見ていきましょう。最も有名な小野小町の伝説は深草少将との悲恋のお話である「百夜通い伝説」です。

 

 

その名の通り、小野小町に恋をした深草少将が100日近く小野小町の元に通い詰めるというちょっと現代としては怖いほどの(笑)愛情で求愛する物語です。実際の話ではなかったと言われて言いますが長いこと語り継がれ、小野小町の持っている数々の伝説の中では最も有名なものとなっています。

 

小野小町は本当に美人で絶世の美女だったの?のお話はこちら↓

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◆「百夜通い伝説(ももよがよい)」<基本形>:心の恋人・深草少将との悲恋の伝承、小野小町の乙女な顔

こちらが小野小町の伝説でおそらくもっとも有名な「百夜通い」伝説の役者となる深草少将(ふかくさのしょうしょう)です。小野小町深草少将が恋をして恋文を送ったことが、悲しい伝説の始まりとなります。

 

 

ざっというと、
小野小町に恋した、
けなげな深草の少将の悲惨な伝説。

 

愛を募らせ、想いを告げた深草の少将小野小町は困ってしまい最初は彼に諦めさせようと無理目な提案をします。(困るくらいなら最初にちゃんと断れよなw)

 

「本当に私のことを想ってくださるなら、100日間毎晩、私のところへ通ってください。それができたら、あなたの気持ちに応えて契りを結びましょう。ただし会いもしないし、声をかけてもいけません。」

 

これが悲痛の伝説の始まりです。

 

それに対して、深草の少将は雨の日も風の日も、けなげに毎日通います。しかし雪の降る99日目の夜(前後)に倒れ、息絶えてしまうといったようなお話です。

 

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こちらが基本パターンです。

 

なんてエモいの!
そして深草少将は
エリートコースにいる若者だった!

 

深草の少将は四位の少将とも呼ばれます。四位とは宮廷に上がることを許された身分で教養もあり、今で言うなら霞ヶ関のエリート官僚。そんな立派な身分の少将が、100夜通いを強いられます。

 

深草少将のいる深草から、小野小町の住む小野の里までは約5キロだったといいます。距離的にはまあまあの距離ですが、100日雨の日も風の日も、おなかが痛くても(笑)通い続けなければなりません。

 

あまりに深草少将が
かわいそうなので
お墓は隣にしてもらってます。

 

 

次に紹介する歌は、上の句を深草少将が、下の句を小野小町が詠んだとされています。

 

あかつきの 榻の端書き 百夜書き 深草少将)
君の来ぬ夜は われぞ数書く (小野小町)

 

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さすが小野小町さん、下の句が切ないですね。

 

牛車の前方に出ている2本の引き棒を置く台のことを榻(しじ)というらしいのですが、深草少将はそこに通った日数を刻んでいたといいます。

 

小野小町が作ったと言われる下の句を見ると、いつしか深草少将の訪れを心待ちにするようになっている複雑な小野小町の乙女心が伝わってきます。(でも約束通り、通っていただきます、とw)

 

 

深草少将百夜通い伝説」伝承派生パターンと小野小町の晩年に関する話に小町の様々な顔が!?

この小野小町「百夜通い」伝説という深草少将の悲恋の物語は、あくまで伝説で史実ではないとされています。さまざまにアレンジされて人々の心をつかみ、今に伝わっています。

なかでも亡霊となった小野小町小野小町が登場する能「通小町(かよいこまち)」伝説は有名です。

 

 

先ほどの歌を改めて。上の句を深草少将が、下の句を小野小町が詠んだとされているこの歌は、古今和歌集で紹介されています。

 

『古今和歌集』巻15
「暁の鴫(しぎ)の羽がき 百羽がき 君来ぬ夜は 我ぞ数かく」

(詠み人知らず)

 

こちらの歌が「百夜通い伝説」の由来と言われています。

 

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「百夜通い伝説」の伝承パターン①小野小町の元へ恋人・深草少将は99日目の雪の日に榧の実を握ったまま死去

それでは同じ小野小町「百夜通い」伝説の中でも、いくつかのパターンに分けられて話にアレンジが施されていますのでご紹介したいと思います。

 

パターンその①:ほぼ先ほどの基本パターンです。小野小町深草少将が毎日運んできた榧(かや)の実で深草少将の通った日数を数えていた99日目の雪の日に深草少将は99個目の榧の実を手にしたまま死んでしまう。小野小町深草少将の供養のために99個の榧の実を小野の里に撒いたという話。

 

小野小町の元へ通う99日目(最終日の前日)の雪の日に深草少将は榧(かや)の実を握ったまま死去。小野小町99個の榧の実を供養のために撒く。

 

榧の実って、結構大きい。

 

 

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アーモンドみたいな実ですね

 

 

「百夜通い伝説」の伝承パターン②小野小町の元へ恋人・深草少将は100日目の最終日に大雪で凍死

この「百夜通い伝説」の伝承はパターン①にかなり近いですがこちらは深草少将最終日に凍死しています。

 

パターンその②深草少将は99日まで通い、100日目の最後の晩に大雪のために途中で凍死。

 

深草少将、
最終日に凍死。無念。

 

 

「百夜通い伝説」の伝承パターン③小野小町の元へ恋人・深草少将は100日目の最終日、大雨で橋ごと流され芍薬を持ったまま溺死

このパターンでは深草少将小野小町に届けていたのは榧の実ではなく、芍薬の花になっています。気が利きます(笑)。そして、深草少将が亡くなった後の小野小町の行動がかなりアクティブな様子です。

 

パターンその③小野小町深草少将が毎日運んできた99本の芍薬(しゃくやく)の花を植え続けてきた100日目の夜に空に雨が降り続く中、途中の森子川にかかった紫で編まれた橋で100本目の芍薬を持った深草少将が橋ごと流されてしまう。

 

小野小町は月夜に船をこぎ出し、深草少将の遺骸を探し、岩屋堂の麓にあった向野寺に安置して、芍薬1本1本に99の歌を詠じ、「法実経の花」と称した。その後、小野小町は岩屋堂に住み、香をたきながら自像を刻み、92歳で亡くなった。

 

小野小町の元へ通う100日目の最終日に深草少将が100本目の芍薬の花を手に、橋ごと川に流され溺死。

 

深草少将、最終日に溺死。
不運にもほどがあるぜ…。

 

でも、この話の場合は
小野小町が結構、動いている。

 

小野小町深草少将の生前も届けられる99本の芍薬の花を植え続けてきていた。
小野小町が月夜に舟をこいで、深草少将の遺骸を発見し、岩屋堂の麓にある向野寺に安置。
小野小町は芍薬1本1本に99の歌を詠じ、「法実経の花」と称し亡き深草少将へ捧げた。
小野小町は岩屋堂に住み、香をたき自像を刻み、92歳で亡くなった。

 

小野小町もこれだけ手間暇かけた動き方をしているので、(特に②の夜中に舟漕いで遺体を発見し、寺までもっていくとか凄すぎw)深草少将はこの話ではまだ報われている気がするのは私だけでしょうか。

 

ちなみに、
芍薬の花はこちら。

 

 

この芍薬から推測できることはこの伝承パターン③のケースでは芍薬が登場することから、その開花時期である4月~6月の3ヶ月ほどがメインの季節だったということが推測できることです。

 

伝承パターン②は雪が出てくるため冬でしたが、この伝承パターンの場合は春~初夏というところで割と季節柄、伝承②に比べると100日通うのは気分的に楽しそう(?)です(笑)

 

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こんなお花を毎日届けるなんて、深草少将ロマンチックですね。

 

 

「百夜通い伝説」の伝承パターン④深草少将は死後怨霊になって小野小町に取り憑く、小野小町錯乱した乞食の老女となる

これは「七小町伝説」にも引き継がれる小野小町の悲惨な老後の内容の結末ですね。

 

パターンその④深草少将の死後、小野小町深草少将の怨霊に取り憑かれて頭がおかしくなり、乞食の老女になった。

 

深草少将怨霊になって小野小町に取り憑く

小野小町には頭がおかしくなって乞食の老女になる

 

両者、
かなり悲惨な終焉を迎えた伝説。

 

 

「百夜通い伝説」の伝承パターン⑤小野小町が99日目の雪の日に深草少将を招き入れると別人だった為そのままドン引きして終焉

せっかく、小野小町が気を利かせて前日に招き入れると、深草少将とは別の人が代理で通っていた、というちょっとロマンも何もない現実的なお話です(笑)。

 

パターン⑤:(山科の随心院に伝わる「はねず踊り」の歌詞)九十九日目の夜、深草少将は雪が余りにも激しかったので代理人に通わせた。

余りの雪に小野小町は「一日早いけれど、どうかお入りなさい」と招き入れると、深草少将とは別人、小野小町も興醒めし、深草少将も恥として、二人は別れてしまう。

 

小野小町の元へ通う99日目の最終日前日、深草少将は余りに雪がひどいので代行業者利用

小野小町が1日早いけど良き計らいで招き入れると深草少将は別人で興ざめ

深草少将も恥として、二人は破局。

 

最も現実味のある
展開の伝説w

 

小野小町恋の歌はこちら↓

小野小町の恋愛恋人・恋の歌まとめ!実は性別が男?六歌仙・古今和歌集
小野小町の恋愛の話とそれに絡む恋の歌について。恋人は誰だったのか、心は誰にあったのか?古今和歌集の和歌を通して当時の女心に迫ります。また性別が男性だったのではないかという噂の真相についても追ってみました。

 

小野小町と恋人・深草の少将の伝承「百夜通い伝説」ゆかりのもの

深草の少将小野小町のストーリーは伝説ですが、欣浄寺には伝説になぞらえられたものがいくつか残されています。こちらの寺院は深草少将が住んでいたとされる寺院です。

 

 

「墨染の井戸」…深草少将の涙のようにかれることから「涙の水」とも呼ばれています。

「小町姿見の池」
小野小町深草少将の屋敷を訪れた際、美しい姿を水に映したと伝わっています。

「竹の下道」
通称「少将通いの道」小野小町のもとへ通う深草少将が通った道と言われています。「この道を通ると願いが失せる」という言い伝えになっているとのことです。

「深草少将張文像」深草少将が亡くなった後、小野小町に書き送った多くの恋文を焼いて、その灰を粘土にして作ったというもの。像の制作には小野小町がかかわったとも言われています。本堂に置かれている像の朽ちかけた衣装が、伝説のリアル感を出しているそうです。

 

小町榧(かや)

小町榧(かや)

 

その他、ゆかりの地としては

 

<随心院>
「文塚」深草少将が書いた手紙を埋めたとする場所
「榧の大木」…糸に綴って日数を数えることになった深草少将が届けた榧の実を撒いて育てたという大木(小町榧)

<補陀洛>…別名「小町寺」と言われ、深草少将篋院塔小野小町供養塔がある。

<法雲寺>…御神体は深草少将小野小町の百夜通いの時に腰かけたといわれる石。あと一夜というところで亡くなり、果たせなかった深草少将の無念が悪縁を切ると言われている。

 

 

 

◆「百夜通い伝説(ももよがよい)」その後の「七小町伝説」小野小町の美女の成れ果ての顔をざっとまとめ

 

草子洗小町(そうしあらいこまち)

宮中での歌合わせにおいて、大伴黒主が勝負に勝つために小野小町を陥れようと仕掛けた罠に小野小町が気づき、草子を洗わせてほしいを提案、大伴黒主の入れ筆を立証し、大伴黒主を許したという美談

 

雨乞小町(あまごいこまち)

日照り続きで色々な達人が雨乞いの技を駆使して雨が降るように促しても一向に雨が降らなかった時に小野小町が素晴らしい歌を神泉苑にて歌を詠んだことで、(神々に献上し褒美として)瞬く間に雨を降らせたという美談

 

通小町(かよいこまち)

「百夜通い伝説」の続編。小野小町は亡霊になっており、その背後に執心に囚われたまま怨霊になった深草少将が僧の前に登場します。小野小町は僧に受戒を求めますが、深草少将はそれを妨げようとします。最後は僧のおかげで両人ともに仏縁を得て救われるという話です。

 
清水小町(しみずこまち)

初老時代の小野小町の話です。都を離れ「関清水」と呼ばれる郊外の地の小さな庵で暮らしていた小野小町の元へ在原業平がわざわざ出向き、小野小町に仏教への出家を勧めます。小野小町はこれがきっかけで諸国巡りの旅へ出るという話です。

 

関寺小町(せきでらこまち)

小野小町が老婆になった頃の話です。能の最奥の秘曲とされており、大変重く取り扱われている能だそうです。近江の国の関寺の僧が稚児を連れて、その辺りの庵に住む老女の元を訪ねます。

和歌の話や素晴らしい和歌の能力を持った老女を、僧たちはかつて絶世の美女と言い伝えられた小野小町の成れ果てだと知ります。華やかな過去と老女になった現在の対比を深い嘆きと共に語る話です。

 

鸚鵡小町(おうむこまち)

こちらも小野小町が老婆になった頃の話で、関寺小町と同じように能では大変重く取り扱われている作品のひとつだそうです。登場する小野小町は100歳に及ぶ老婆になっており、物乞いという状態。しかし、和歌の才能だけは他のすべてを失った老女の小野小町にも健在だったという話です。

 

卒都婆小町(そとばこまち)

こちらも老女物としての能では重い習いの特別な曲となっているようです。99歳の物乞いの小野小町が登場します。通りがかりの教えを諭そうとする僧を逆に諭す小野小町(笑)しかし、百夜通いで命を落とした深草少将の怨念に取り憑かれ半狂乱となってしまうという話です。

 

このようになかなか悲惨な老後が語られている小野小町です。次回は小野小町の最期についての伝説を調べていきたいと思います。

 

■小野小町の最期と晩年のお話はこちらです↓

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またお会いしましょう♪

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